
ジャン・デュナン(JEAN DUNAND)もそのひとつ。ボヴェの再興に寄与したティエリー・ウルヴェイ(Thierry Oulevay)と、特殊時計工房「クリストフ・クラーレ(CHRISTOPHE CLARET)」が手を組んだ時計ブランドであり、2008年のスタート以来、確実に高級時計界に名を刻んでいる。
2011年の新作は少数精鋭で1モデルのみ。しかしこの手の超複雑時計ブランドの場合、顧客は極めて限定されるため大量の新作は不要。レベルの高い時計をじっくりと開発し、製作して販売するという環境は、モノ作りとしては理想的だ。
新作「パラス(PALACE)」は、20世紀前半の古く良きフランスへのオマージュ。1900年に開催されたパリ万博をテーマにしているのは、この期間がフランス人にとって最も輝かしい時代だったからだろう。
スイス時計業界はフランス語圏が中心のため、フランス文化の影響が強い。ジャン・デュナン「パラス」は、そんな歴史的・文化的背景を感じることができる時計なのだ。