
2010年のジュネーブで耳にしたのが、ヨルグ・イゼック(Jorg Hysek)がデジタルウォッチに興味を持っているという噂。今まで数々のハイエンドウォッチを作ってきた彼がデジタルウォッチを作ることなどあるのだろうか? 半信半疑ではあるものの、優れたデザイナーでありコンセプターであるヨルグ・イゼックならひょっとすると…という予感はあった。
そのため2011年のhD3の新作として、デジタルウォッチ「スライド(SLYDE)」が登場したのもすんなりと納得できた。
むしろ伝統的な時計メーカーではないからこそ可能な新しい提案であり、これは話題になるだろうと、私は好意的に見ている。
特に好感が持てたのはケースの仕上がり。デジタル=安価というイメージを払拭するような、高級感のあるケースデザインと仕上げを施しているので、“変わった時計が欲しい”という我儘なユーザーの琴線にも触れるだろう。
金無垢ケースやダイヤモンドモデルも受注するという点も、いかにもhD3らしい戦略であり、このぶれの無さも好ましい。