EUを代表する工業国ドイツ。その工業製品は世界中で愛されている。それは日本でも同様で、ドイツ・プロダクトの持つ"機能とデザインの融合"に我々日本人は魅了されてきた。今や時計業界においても"メイド・イン・ジャーマニー"は力のあるブランドとなっている。丁寧な時計作りはもちろんのこと、デザイン性の良さも人気の要因だ。
ドイツ・プロダクトのデザインの根底には、「バウハウス」というキーワードが隠れている。バウハウスとは第二次大戦前までドイツに存在した学校のこと。ウォルター・グロピウスやミース・ファン・デル・ローエといった巨匠デザイナー/建築家が校長を務めた名門工芸学校だった。
ここで生まれたのが「形状は機能に寄り添う」という思想。 機能を優先して考えるとおのずと形状(=デザイン)が決まる…。ここから"機能美"という概念が生まれたのである。
「ノモス(NOMOS)」のコレクションを見ると、時計における"機能美"とは何なのかがわかる。
時刻を知らせる道具という時計の本質にのっとり、針位置を判読しやすくするために、インデックスも針もシンプルなデザインした。インデックスをバーとアラビア数字で交互に表示するのも、時刻を確実に読ませるためだ。
ケースが薄くて小ぶりなのは、腕に着けるという腕時計の特性から導き出されたもの。巨大で分厚い時計が人気だが、使い勝手を考えればノモスのケース・デザインの方が確実に優れている。
このデザイン哲学が評価され、本国ドイツではクリエイター御用達の時計ブランドとして有名なのだとか。"シンプルで普通"な時計でありながら、ノモスにはドイツ・プロダクトの真髄が詰まっているのである。
取材・文:篠田哲生 Report&Text:Tetsuo Shinoda
写真:堀内僚太郎(Storm) Photos:Ryotaro Horiuchi(Storm)
※表記は2010年7月現在のものになります。
ノモス グラスヒュッテ(NOMOS Glashütte)
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