Watch Person Interview vol.54 ふとした言葉から始まった 巨匠との初のコラボレーション
独創的な時計作りで知られるスイスのブランド「ロマン・ジェローム」。同社が2015年のバーゼルワールドで発表した新作『SUBCRAFT(サブクラフト)』のお披露目のため、CEOのマニュエル・エムシュさんと、このモデルのデザイナーである巨匠アラン・シルベスタインさんがそろって来日。おふたりに開発の経緯を伺った。
「アランさんとは15年来の友人で、文化的な背景やデザインのセンスが一緒でした。そして時計の品質やディテールに対する探求心も同じ。そんなことから彼と私は友達でありソウルメイトでもあったんです。
そして2013年に私が『SPACECRAFT(スペースクラフト)』というリニア・レトログラード機構を搭載するモデルを作った時、アランさんがバーゼルワールドのブースにフラリと訪ねてきて、それをとても気に入ってくれたんです。
そのモデルの名前は“宇宙船”という意味で、直線的でエッジを強調した作品でしたがアランさんは“もう少しオーガニックなシェイプにしたらどうだろう? そうすれば、もっと魅力的になる”とアドバイスをくれました」(マニュエル・エムシュさん)
「その複雑機構は私にとって、とてもしっくりくるものがあったんだ。そこで、当時のモデルとは対極のフォルムとして潜水艇のようなスタイルを着想し、これをマニュエルに話した。するとしばらくして彼から“私と一緒に仕事をしよう”と連絡があり、自分としては挑戦を受けたと感じたんだ」(アラン・シルベスタインさん)
「私は前作とこの新作で、両極端なことをやってみたかった。万人に好かれる中間のものではなくね。それでアランさんと仕事をすることにしたんです。彼は革新的なことが大好き。私は、このプロジェクトを尊敬する人物と進められることに非常な喜びを感じました」(エムシュさん)
「新作『サブクラフト』のコンセプトは新しい領域に挑戦し、それができると証明すること。決してマーケティングから作ったモデルではないんだ。世代や性別を意識し、ニーズを分析して作るのとは逆。目指したのは革新性とデザインの完璧な融合だね」(シルベスタインさん)
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Alain Silberstein / アラン・シルベスタイン
1950年、パリ生まれ。1973年、フランス国立高等応用学校卒業後、インテリアの世界で活動開始。1985年、気に入ったクロノグラフを自分で製作しようと考えたことから時計のデザインを始める。1987年、バーゼル・フェアで時計を発表。1995年、ブザンソンにアトリエを構える。その後、自らのブランドでバウハウスのデザインに影響を受けた数々の名作を発表する。 -
Manuel Emch / マニュエル・エムシュ
1972年、スイス生まれ。ラ・トゥール・ド・ペのアートセンターでデザインを学んだ後、ローザンヌ大学に入学し、経済学を学び修士号を取得。ビジネス・コンサルタントとして活動するが、2001年、スウォッチグループに入社しジャケ・ドローのCEOに就任。ブランドを成功へと導く。2010年、ロマン・ジェローム(2004年設立)という若い会社に加わり、CEOに就任。独創的なコンセプトのモデルを次々に発表し、その知名度向上に貢献している。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photo:Ryotaro Horiuchi
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