オリス×AD CORE
現代社会で独自性を保つためには、あらゆるものに対して信念をもって立ち向かわなくてはいけない。
今年で創業120年を迎えたスイスの時計ブランド「オリス」は、独立資本を貫き、
機械式ムーブメントにこだわり、丁寧に時計を作り続けてきた。
そんなオリスの哲学に共感するのが、日本の家具ブランド「AD CORE」。
その理由を同社の代表取締役社長で、クリエイティブディレクターも務める瀬戸昇氏に聞いた。
AD CORE 代表取締役社長で、クリエイティブディレクターも務める瀬戸昇氏
機械式時計は定期的にメンテナンスを行うことで長く付き合っていくものだ。同様に家具も、長い時間を付き合っていくものである。日本の家具ブランド「AD CORE」は、1985年の創業以来一貫して、人々のライフスタイルに溶け込み、そして、使う人の心を満たしてくれる美しい家具をつくってきた。
「僕のデザインポリシーは、”どこにでもありそうで、どこにもない“。学生時代は、他にデザインを生み出したいと考えていましたが、仕事をするようになって気が付いたのは、調和こそが最も重要だということです」
と語るのは、同社の代表取締役社長で、クリエイティブディレクターも務める瀬戸昇。
「例えば椅子は1脚だけで存在するわけじゃない。空間があって、使う人がいて初めて成り立つ。それなのに椅子だけが目立ちすぎてしまうのは、正しいデザインとはいえません。弊社は1985年に創業しましたが、当時のスローガンが“ 21世紀まで残る家具を作る”ということ。平凡なデザインでは困るけど、奇をてらうと飽きられる。結局はスタンダードだけど、デザイン的に優れているものだけがずっと残るのです」
だから時計も、機械式を好む。
ブルー、グリーン、バイオレットなど、光のあたり方によって色彩を変化させるダイヤルは、チューリヒ工科大学と共同開発。自然界の玉虫色から発想を得たという不思議な色合いは、タフなパイロットウォッチに新たな個性を加える。「プロパイロットX キャリバー400 レーザー」。自動巻き、Tiケース、ケース径39mm。833,800円
>「プロパイロットX キャリバー400 レーザー」詳細はこちら「小学校の時にコンクールの副賞で貰った機械式時計を、今でも大切に所有しています。当時はクオーツウォッチが最先端でしたが、僕は機械式時計の味わいに魅了されました。友人たちが持っていたクオーツウォッチは電池が切れたらそれでおしまい。でも僕の時計は未だに現役です。長く使える時計の条件として、もちろんデザインは重要ですが、そこに防水性能や精度といったスペックが加わる。さらには“長く使う”ためには、修理可能な機械式ムーブメントでなければ成立しませんよね」
こういった長く使える時計の条件を備えるのが、1904年に創業したスイスの時計ブランド「オリス」。今年で創業120周年を迎えた人気ブランドは、機械式時計のみを製造することがポリシーとしてきた。
「オーソドックスで長く使えるものと考えると、オリスが評価されるのは当然でしょう。私にとってオリスといえば、やはり『ビッグクラウン・ポインターデイト』ですね。クラシックな雰囲気ですが、個性的でもあるところに惹かれます」
ソファの内部構造を見せる、ショールームのディスプレイ。構造体には、地産地消を実践している九州の合板生産工場との協力から生まれた国産針葉樹の合板を使用しており、軽量だが強度の高い構造になっている。
「ビッグクラウン・ポインターデイト」がオリスの歴史を語るものとするなら、この「プロパイロットX キャリバー400」は、オリスのこれからを語るモデルといえるだろう。オリスのパイロットウォッチの伝統である大型のリューズ(ビッグクラウン)は健在だが、チタン製のケースはエッジを利かせたデザインとなり、ダイヤルのカラーリングもかなり大胆だ。しかしケース径は39mmと小ぶりで、搭載ムーブメントは高性能のCal.400。軽くて腕馴染みに優れる、実用的な時計となっている。
スイスでは「スイスネス法」という法律があり、時計の場合、部品の60%がスイスで作られていない限り、ダイヤルに“SWISS MADE”と明記することはできない。ご存じの通り、スイスは世界で最も生活コストの高い国のひとつであるため、スイス国内で何かを作るということは相応のコスト高になってしまう。しかしそれでも品質と「スイス時計」というブランドを保つためには必要なことでもある。当然オリスの時計もスイス製であり、創業地であるヘルシュタインで、今も丁寧に“SWISS MADE”の時計を作っている。
一方、日本の場合は「日本製」や「Made in JAPAN」を明記する上での法的根拠はあいまいだ。しかしAD COREでは、日本国内で家具を製造することにこだわっている。
AD CORE「CERVO(チェルボ)」は、デザイン的にはオーソドックス。しかし足の取り付け角度やパイプの直径や厚みを変えることで強度を高めている。また椅子を構成するパーツは分割構造なのでストックするのも容易。普通の木製家具の考え方からは逸脱しているが、常識から離れることで、クオリティを高めることができるのだ。
「我々は戦略的に、自社工場を持っていません。新しい技術に対応してくれる工場に依頼し、共同開発していく。自社製造じゃないからこそ、逆に限界を作らないのです。優れた製品を作る技術を持つ工場は、世界中にあります。それでも国内生産にこだわるのは、デザインだけやって製造は工場に丸投げ、とするのではなく、最後まで一緒に作り上げたいから。そして製造が始まってからも品質管理は責任もっておこないますし、工場に行けない場合は写真を送ってもらって確認しています。
もちろんジャンルによっては海外の方が、製造技術が優れている場合もあるでしょう。でも僕は物づくりに大切なのは、結局は気持ちだと思う。職人さんとこだわりを共有し、情熱を伝える。そうしないといい商品にならない。そして顔が見える職人さんに作ってもらうことで、お客様に安心して使ってもらえる家具が生まれるのです」
しかもオリスでは機械式時計をのみを製造しているのもこだわりだ。機械式時計は定期的にメンテナンスをおこなえばいつまででも使い続けることができるは、それは時計の技術を守り、時計の文化を守ろうという意思でもある。
またオリスではセリタ社のムーブメントをベースモデルとして使用するだけでなく、優秀なサプライヤーと協力して、創業110周年となる2014年から自社設計ムーブメントも積極的に開発を進めている。
AD COREを代表するダイニングチェア「CERVO(チェルボ)」の第三弾として、2004年に発表した「CERVO lll(チェルボ トレ)」。パーツ化された構造はメンテナンス性に優れており、浮かせるようにシェルがつけられており、高い強度と軽やかなデザインを両立している。椅子のデザインにはアーム付きとアーム無しの二種があり、張地やシェルの色を選んでオーダーする。78,100円(税込)~
「プロパイロットX キャリバー400」に搭載される自社開発ムーブメントのCal.400は、実用性を重視しており、優れた耐磁性能を備え、ツインバレルによって120時間というロングパワーリザーブを実現。精度はクロノメーター基準をしのぐ-3~+5秒という高性能で、なんと10年間の品質保証がついている。
歴史と伝統に敬意を払いながら、自分たちが理想とする時計作りにまい進するオリス。それは「産業を守り、文化を守ることは、すべての企業が考えなければいけないことですから」という瀬戸の気持ちと呼応する。
長く使える製品を作る。それはすべてのブランドが掲げる理想だ。しかしサステナビリティな社会を構築するために、オリスもAD COREももっと先を見ている。
「我々は受注生産なので在庫もなく、売れ残ったからといって捨てることはない。また間伐材や国産材を積極的に利用しています。そういう点では環境に優しい会社だと思っていましたが、製品の梱包にまで気が回っていませんでした。発泡スチロール製の緩衝材は石油製品ですし、リサイクルできず、ゴミ出しはお客様の負担になる。また商品を包む梱包袋は、石油由来のポリエチレン袋でした。やるなら徹底的にやろうと一念発起し、2022 年より、緩衝材はリサイクルできる段ボールにしました。また梱包材は、土に戻る自然素材の不織布を使っています。
こういった施策は、商品に直接関係ないことです。しかし、もしも自分が雇われる側だったら、属する会社が問題意識もなく利益だけを追求していたらきっと幻滅するでしょう。しかも二番煎じではなく、どこもやってないことを率先して行うことも大切なことですし、そうすれば、自分たちの仕事に自信が持てるでしょう」
グレーメタリックのチタンケースにシックなグレーのダイヤルを合わせ、針やインデックスはブラック。モノトーンでまとめることで、機能的な時計でありながらモダンな雰囲気をまとう。「プロパイロットX キャリバー400」。自動巻き、Tiケース、ケース径39mm。731,500円(税込)
>「プロパイロットX キャリバー400」詳細はこちらオリスも同様だ。そもそも長く使える機械式時計のみを作っていること自体がサステナブルだが、それだけではなく、20年前から「Change for the Better」というキャンペーンをスタートさせている。
オーストラリアのサンゴ礁保護活動支援といった大規模なものもあるが、世界各地で行うビーチクリーニング活動や駆除された野生のシカの革をサステナブルなプロダクトに変える「チェルボボランテ」と組んでストラップを製造するなど、地に足の着いた活動もおこなっている。
AD COREの世界に触れるなら、東京、大阪、名古屋のショールームに足を運びたい。機能的で美しい家具たちはコーディネートされて展示されているので、暮らしをイメージしながら選ぶことができる。東京ショールーム:東京都渋谷区広尾2-13-2 / 大阪ショールーム:大阪市中央区南船場2-6-12 SEDIC PLACE 2F / 名古屋ショールーム:名古屋市中区錦3-15-15 CTV錦ビル3F ※すべて完全予約制(https://www.adcore.co.jp/showroom/)
オリスの時計を持つということは、サステナブルな社会への意識が高いということであり、それもまた、長く愛用したいと思わせる満足感につながる。こういった活動は、オリスが独立資本であること、そして比較的規模が小さなブランドであることも関係するだろう。
不特定多数の人々を巻き込むのではなく、熱心な賛同者のために理想を貫く。それは自分たちに嘘をつかず、明確なメッセージを伝えるということでもある。オリスもAD COREもその姿勢にブレがない。だからいつまでも愛される製品が生まれるのだ。
取材・文:篠田哲生 / Report & Text:Tetsuo Shinoda
写真:江藤 義典 / Photos:Yoshinori Eto
美しいもの、人々のライフスタイルを個性的にサポートするもの、トレンドに流されないもの、グローバルな視点を持ち、環境に配慮されたもの、コストパフォーマンスを考慮したもの、そして、使う人のこころを満たしてくれるもの。
そんな家具を1985 年から一貫して作り続けてきました。
会社設立時にカンパニーポリシーとして掲げたのは、21 世紀まで作り続けられるデザイン。
我々が送り出せるのは実際にデザインされ生活の中で使う家具です。
永くお使いいただくために、強度にもこだわり椅子の場合、独自の繰返し強度試験を行い、旧JIS 規格の3 倍の強度を確認できたものを製品化しています。
全ての製品は当社オリジナルデザインで国内生産されています。
AD CORE DEVISE INC.
株式会社エーディコア・ディバイズ
〒150-0012 東京都渋谷区広尾2-13-2
TEL 03-5778-3341(代)
ProPilot X Calibre 400 Laser
プロパイロットX キャリバー400 レーザー
Ref:400 7778 7150-07 7
ケース径:39mm
ケース素材:マルチピース チタン
防水性:10気圧(100m)
ストラップ:マルチピースチタン、チタン製フォールディングクラスプ
ムーブメント:自動巻、Cal.400、120時間パワーリザーブ
仕様:時・分・秒表示、ストップセコンド、光反射レーザー加工チタンダイアル、チタン製ねじ込み式リューズ、日差-3/+5秒(COSC基準内)、高耐磁性、マイオリス登録により保証期間が10年に延長、10年間メンテナンス不要、防水テストは5年毎を推奨
価格:814,000円(税込)
ProPilot X Calibre 400
プロパイロットX キャリバー400
Ref:400 7778 7153 7 20 01TLC
ケース径:39mm
ケース素材:マルチピース チタン(サンドブラスト仕上げ)
防水性:10気圧(100m)
ストラップ:チタン、オリス特許取得のリフト式フォールディングバックル
ムーブメント:自動巻き、Cal.400、120時間パワーリザーブ
仕様:時・分・秒・日付表示、デイトコレクター、ファインタイムデバイス、ストップセコンド、グレーダイアル、MyOrisに登録すると時計とムーブメントともに10年間に延長保証、オーバーホール推奨期間10年、防水チェック推奨期間5年
価格:731,500円(税込)
オリス(ORIS) についてのお問い合わせは…
オリスジャパン株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目3-14 和光オリスビル
TEL: 03-6260-6876
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※価格は2024年9月25日現在のものです。
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