オリス×レストラン・パッション

信念ある仕事で、
喜びを分かち合う


高級時計も高級レストランも、生活必需品ではない。
しかし今も人々から愛されているのは、人生という時間に彩を与えてくれるからだ。
スイスの時計ブランド、オリスは、その真摯な時計作りが評価され、今年で創業120年を迎えた。
そんなオリスの姿勢にシンパシーを抱くのが、代官山の「レストラン・パッション」。
その理由を総支配人のパトリック・パッション氏に聞いた。


#1:伝統_理想を貫くことで
伝統が生まれる。


 スイス時計産業のルーツは隣国のフランスにあり、宗教的理由で16世紀末から移住してきたプロテスタント系の時計職人が伝えた技術によって大きく発展を遂げた。そのため伝統的なスイス時計ブランドは、ジュネーブを中心としたフランス語圏に多い。
 しかしオリスはそういった歴史とは違った道を歩んできた。ポール・カッティンとジョルジュ・クリスティアンという二人の時計師は、手にしやすい価格でありながら高品質な時計づくりをめざし、1904年に時計ブランド「オリス」を創業。1960年代にはスイス屈指の大ブランドへと成長する。1970年代のクオーツ革命によってスイス時計産業は大きな打撃を受けたが、オリスは「機械式時計のみを製作する」という戦略をとることで、その名声を確固たるものとした。
 今年で創業120年を迎えたオリスは、世界最大の時計イベントである「ウォッチズ アンド ワンダーズ ジュネーブ」にも参加しており、その存在感は増すばかりだ。それはオリスが創業以来一貫して実直な時計づくりに邁進してきたからだ。


総支配人を務めるパトリック・パッション氏

総支配人を務めるパトリック・パッション氏。幼少期を日本で過ごしたのちに、フランスの有名ホテルやレストランで修行を重ねた。帰国後に家業を継ぎ、父が築き上げた伝統を守るべく奮闘している。


 そんなオリスの歴史に共感するのが、代官山にあるフレンチの老舗「レストラン・パッション」の総支配人であるパトリック・パッション氏だ。


「私の父であるアンドレ・パッションは、フランス人シェフとして1970年の大阪万博のために来日しました。そしてその後、六本木の名店『イル・ド・フランス』のシェフとなりました。とはいえまだまだフランス料理は文化として定着していなかったため、例えばカエルや豚の血のように日本ではなじみのない食材を集めるだけでも苦労したそうです。1984年に独立し、代官山のヒルサイドテラスに『レストラン・パッション』をオープンし、現在も現役。職人のスピリットをもち、年齢関係なく、自分の好きな仕事として情熱をもって仕事をしています。父は自分が信じていることに対しては、絶対にブレがありません。時代に合わせて変化させると、長くは続かない。それはオリスも同じですよね。時計の世界もトレンドの変化が激しいと聞きますが、だからこそ周囲に流されないことも大切。自分を信じること。それが長く続けていける秘訣のひとつではないでしょうか」


 実は現在、アンドレ氏をはじめ、パトリック氏や弟のティエリー氏は、みなオリスの時計を愛用している。それはその歴史と信念に惚れたからなのだ。


パトリック氏の腕には、昨年発売された「オリス ダイバーズ65 クロノグラフ」

パトリック氏の腕には、昨年(2023年)発売された「オリス ダイバーズ65 クロノグラフ」。2カウンター式のクロノグラフはカレンダーもなく、レトロな雰囲気を作っている。自動巻き、SSケース、ケース径40mm。676,500円(税込)

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>「レストラン・パッション」詳細はこちら >「オリスの歴史」詳細はこちら

#2:精度_プロの仕事は
細部に宿る

 オリスでは「Real watches for real people(本物の時計を本物の人へ)」をブランドのスローガンに掲げている。その信念は、ついに自社ムーブメントの開発へと歩みを進めた。そもそも価格帯を意識した場合、汎用ムーブメントを使う方がコスト面のメリットは大きい。しかしオリスは創業から1981年までに229種の自社ムーブメントを開発してきた名門でもあるのだから、自社ムーブメント開発への思いは断ち切り難かった。


古い工場を買い取り、工場と本社としたオリス。この建物は現在も社屋として使われており、オリスの時計づくりの伝統を静かに見守っている。

古い工場を買い取り、工場と本社としたオリス。この建物は現在も社屋として使われており、オリスの時計づくりの伝統を静かに見守っている。


 まずは創業110周年となる2014年に、35年ぶりとなる自社製のロングパワーリザーブムーブメントCal.110を発表。そして2020年には5年の歳月をかけて開発した自社ムーブメントCal.400を発表する。


  このCal.400は耐磁性や5日間のパワーリザーブといったユーザーフレンドリーなスペックを備えており、しかもそのデザインも美しくまとめている。オリスがこのムーブメントを開発したのは、高精度で使いやすい時計を目指すため。それは“本物の時計”をユーザーに届けたいというプロフェッショナルの矜持から導き出されたものだった。


 精度を高め、本物を目指す。それは「レストラン・パッション」にも息づく信念である。


2020年にデビューしたキャリバー400。

2020年にデビューしたキャリバー400。複数の時計を使い分ける現代人のニーズに合わせた5日間のロングパワーリザーブや磁気を発するデジタルツールに囲まれた生活に対応する耐磁性能など、徹底的にユーザビリティにこだわった。


 レストラン・パッションは格式高いレストランだが、実はフランスの伝統的な家庭料理「カスレ」も名物料理としている。土鍋で提供される煮込み料理はとても美味しいが、こういったレストランではまず見ないもの。しかしレストラン・パッションではカスレにも情熱を傾け、ついにはトゥールーズ風カスレ世界大会にて優勝を果たしている。


「レストラン・パッション」の名物料理である「カスレ」

「レストラン・パッション」の名物料理である「カスレ」。アンドレ氏の出身地である南フランス、オクシタニー地方の伝統料理で、鴨や羊などの肉と白いんげん豆を煮こむ。同社のサイトからお取り寄せも可能。


「カスレは日本に住むフランス人のために作り始めたのが最初です。パッションのレシピを公開しているので誰でも真似はできますが、しかし同じようにはできないのは、“舌”が違うから。レシピはあるけど、最後は舌の感覚です。どれだけ厳密に料理を作っても、材料には多少のばらつきがある。そのブレを整えるためには何千、何万回と作らなければいけない。しかし料理の味というのは、こうやって継承されていくものであり、私もスタッフも、料理に関しては徹底的にやってきたという自信がある。だから父がつくり上げた味は、絶対ブレないのです」


 何千、何万という経験が精度を高め、理想の料理が完成する。最良の製品を届けたいという信念は、時計であれ料理であれ、結局は溢れんばかりの情熱にゆだねられるのだ。



>「レストラン・パッション」詳細はこちら >オリス詳細はこちら

#3:土地_土地に根差し、
文化を育む

 東京都内では大規模な都市計画があちこちで進行している。新陳代謝が良いともいえるが、数年で街の風景が変わってしまうと、その地で根を下ろしながらビジネスを続けるのは難しい。しかし代官山には時間が止まったかのように、変わらぬ風景を作っているエリアがある。


 旧山手通り沿いにある「ヒルサイドテラス」は、地元の名士であり政治家も輩出した朝倉家の土地にたつ、集合住宅、店舗、オフィスなどから成る複合施設。第一期としてA・B棟が竣工したのが1969年で、第七期となる最後のヒルサイドウェストが竣工したのが1998年。約30年をかけて建築家の槇文彦と朝倉家がじっくり時間をかけ、街と寄り添うように建物のプランニングを重ねていった。


「レストラン・パッション」はヒルサイドテラスB棟にある。

「レストラン・パッション」はヒルサイドテラスB棟にある。外階段を下った場所にあり、隠れ家のような雰囲気。屋外テラスを挟んで系列店の「ル・コントワール・オクシタン」がある。


「ヒルサイドテラスには、とてもいい空気が流れています。お店同士の交流があり、年に一度の猿楽祭というお祭りではみんなでイベントを行います。お互いのお店が協力し合う関係にあり、ここ自体がひとつの街といえますね。『レストラン・パッション』の真横には、もう少しカジュアルな南フランス専門店の系列店の『ル・コントワール・オクシタン』があります。スタッフは両店を行き来しますが、それだけでも生き抜きにもなるし、違うスタイルで仕事をすることも刺激になります」


 低層階の建物が横につながるヒルサイドテラスは、高層化が進む大都市の中ではかなり異色だ。しかしその贅沢だがリラックス感のある空間の作り方が、レストラン・パッションのラグジュアリー感の中にもどこか落ち着いた雰囲気にもつながっている。街の空気がレストランのムードをつくるのだ。


人気ダイバーズの「アクイス デイト キャリバー400 43.5mm」がリニューアル。リューズの形状を変えて操作性を高め、針やインデックスのデザインで高級感を高めた

人気ダイバーズの「アクイス デイト キャリバー400 43.5mm」がリニューアル。リューズの形状を変えて操作性を高め、針やインデックスのデザインで高級感を高めた。サイズの微調整ができる「クイックアジャスト クラスプシステム」を採用するなど実用性も高い。グリーンのダイヤルは中央に行くほど明るくなるグラデーション仕上げとなっており、美しい世界を作る。自動巻き、SSケース、ケース径43.5mm。616,000円(税込)

>「アクイス デイト キャリバー400 43.5mm」詳細はこちら

 オリスもまた、街から生まれた時計だ。1904年から拠点を構えるヘルシュタインは、スイス北部の貿易都市バーゼルに近く、鉄道も走る交通至便の場所。ドイツ語圏にあるためか、時計にはどこかドイツ的な質実剛健さがある。また時計職人の労働環境の向上を考え、1950年代には工場近くに従業員用住宅を作り、社食を充実させ、遠くに住む社員のために通勤バスを走らせたという。


 現在の本社の1階にはギャラリーショップがある、メンテナンスサービスの受付場所にもなっている。ユーザーは気軽に立ち寄ることができ、スタッフと会話を楽しみ、グッズをチェックし、時計を購入することも可能だ。


 レストラン・パッションもオリスも、歴史ある名門でありながら、どこか温かみがある。それは地元にしっかりと根を下ろし、周囲と良好な関係を築きながらビジネスをしているからだろう。


ヘルシュタインにあるオリス本社の1Fにはショップがあり、オリスのグッズや周辺の名産品、そして時計を購入可能。

ヘルシュタインにあるオリス本社の1Fにはショップがあり、オリスのグッズや周辺の名産品、そして時計を購入可能。

#4:継承_次世代へ
何を受け継がせるべきか?

 機械式時計のメリットは、たとえ不具合が生じても修理をしながら長く使っていけることにある。もちろんそのためには定期的にオーバーホールを行う必要があるが、例えばオリスの自社ムーブメントCal.400の場合は10年間の品質保証があり、オーバーホール推奨期間も10年(通常は3~5年)とかなり長い。これはエンジニアリングの進化によって実現したことで、例えば負荷がかかりやすいローター部分を摩擦が少ないスライドベアリングに変更することで故障リスクを下げている。こういった小さな改良によってオリスの時計は、一生モノどころか世代を超えて受け継いでいける時計となる。


前述のショップの奥にコーヒースペースがあり、そのさらに奥にはメンテナンス用の工房がある。アフターサービスが充実しているから、長く使っていける時計となるのだ。

前述のショップの奥にコーヒースペースがあり、そのさらに奥にはメンテナンス用の工房がある。アフターサービスが充実しているから、長く使っていける時計となるのだ。


 家族経営の「レストラン・パッション」にとっても、“継承” は重要なテーマだ。


「父アンドレが始めたレストラン・パッションは、私と弟が引き継いでいます。私は幼少期からこのレストランが好きで、この香りが脳の中に染み込んでいます。同様に20~30年近く一緒に仕事をしているスタッフも多く、彼らにもレストラン・パッションのスピリットが染み込んでいます。しかしそれでもお店には、父や私、弟が必ずいるようにしています。常に中心的存在といる人物がいないと、どうしても少しずつ変わってしまいます。またお客さんにとっても、パッション家の人々がいることが安心感になる。美味しい料理を提供するのは当たり前で、お客様は雰囲気も含めて楽しむために、レストラン・パッションに足を運ぶのです。


アンドレ・パッション

アンドレ・パッション。1944年、南仏のモンペリエ生まれ、カルカッソンヌ育ち。1970年に来日し、その後、六本木の名店「イル・ド・フランス」のシェフを務める。1984年 代官山「レストラン・パッション」開店、日本におけるフレンチレストランの草分けとなる。フランス共和国より国家功労勲章、 2013年にはフランス共和国オランド大統領が来日した際、 農事功労賞最高位コマンドール勲章を授与される。また同年フランス共和国最高勲章レジオン・ドヌール勲章を授与される。いまも現役シェフとして厨房に立ち続ける。


 そういったことができるのは、独立資本であるから。すべてを自分たちやるのは大変ですが、自分たちが信じた道を支持してくれる人がいるから続けていくことができるのです。オリスも独立資本ですから、その存在が我々に勇気を与えてくれる。この時代の中でインディペンデントを貫くのはかっこいいし、周囲に影響されていない。それこそが本物のブランドです」


「レストランに来る目的は人それぞれですが、最終的には嬉しい、楽しいという気持ちになってもらいたい」と語るパトリック氏。その気持ちをフランス語で表現するとどういう言葉になるのかと聞くと、「Partage(パルタージュ)ですね」と教えてくれた。


レストランのエントランスにはオリスのショーケースが。アンドレ氏の二人の息子である、兄パトリック氏(左)と弟ティエリー氏が歴史を継承し、そして未来へと伝統をつなげていく。

レストランのエントランスにはオリスのショーケースが。アンドレ氏の二人の息子である、兄パトリック氏(左)と弟ティエリー氏が歴史を継承し、そして未来へと伝統をつなげていく。


 パルタージュには共感という意味も含まれており、相手とこの喜びを共有すると、もっと幸福になれるということだ。


 オリスもパルタージュなブランドであり、時計を身につける人が本当に喜んでもらいたい。素晴らしい時間を過ごして欲しいと考えている。オリスは自らが信じた道を歩み続けて、今年120周年を迎えた。その姿勢は多くの人に勇気と共感を与え続けているのだ。



取材・文:篠田哲生 / Report & Text:Tetsuo Shinoda

写真:堀内 僚太郎 / Photos:Ryotaro Horiuchi


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オリス×レストラン・パッション キャンペーン

開催期間:2024年8月10日(土)~9月10日(火)

実施店舗:オリス銀座ブティック

【キャンペーン特典】
キャンペーン期間中、オリス銀座ブティックで時計をお買い上げのお客様にパッションの特別ランチ「オリスコース」2名1組のバウチャー(6か月有効)をプレゼントします。

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※価格は2024年7月16日現在のものです。
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