見慣れた顔だが、実は最新版。11時位置の「SHOCK RESIST」マークや7時位置の「MR-G」で、特別なモデルであることをさりげなく示す。

ついにあの原点モデルが「MR-G」に。
”未知の進化”を遂げた「MRG-B5000」


“角形のG-SHOCK”は、30年以上の歴史を持つアイコンだが、実はこの“角型”には2つの系統がある。一つは1983年にデビューした初代G-SHOCK「DW-5000」から始まる5000系。そして初期角形の完成形として1987年にデビューした「DW-5600」を源流とする5600系だ。 現在も発売されている角形モデルは、後期型の5600系がほとんどだが、フルメタルの「GMW-B5000」や金無垢モデルの「G-D5000」など、カシオが特別なメッセージを込めたモデルを作る時のみ、この“5000”の名を冠することになる。


 今回、久々にこの「5000」モデルが誕生した。しかしそれがG-SHOCKの最高峰「MR-G」と聞くと、驚く人も多いのではないだろうか。新作とはいえ、その顔には見慣れた雰囲気があり、例えばダイアル部分にはレッドラインやレンガパターンを踏襲。そして時刻やカレンダーの配置も変わらない。


 この「MRG-B5000」は、これまでと何が違うのだろうか? 誰もが知る傑作「5000」は、MR-Gを名乗るにあたり、誰も知らない“未知の進化”を遂げていたのである。


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①“未知”の多パーツ構造

これまでは単体パーツだったベゼルが、25個のパーツで構成されるように。G-SHOCK史上最も複雑なケースとなっている。


 1983年にデビューした「DW-5000」は、強い衝撃からモジュールを守るために、一体型の樹脂製ベゼルでインナーケースをくるむように設計した。つまり時計を、強固で柔軟な外殻で覆ったのだ。


 この方式はそれ以降のG-SHOCKに踏襲され、例えばフルメタルケースの「GMW-B5000」の場合は、金属製の一体型ベゼルを上からかぶせるという方式で製造されている。 しかし新作の「MRG-B5000」では、全く新しいケース構造を採用した。なんとこれまで一体だったベゼル部分が、25個のパーツに分かれているのだ。


 その目的は、細部へ丁寧な磨き込みをするためだ。そもそも5000系のベゼルは樹脂による一体成型なので、かなり造形が複雑だった。そのためメタル化した際に、どうしても磨きにくい場所が生じてしまう。この問題を解消するために、25個のパーツに分けて、細部にまで高級時計の下地処理と同じザラツ研磨を施し、これまで以上に美しいケース仕上げを実現している。


「MRG-B5000」はこれまでの5000系と同じデザインコードを踏襲しているが、ケース構造は全く異なる。MR-Gの名にふさわしい仕上げに、徹底的にこだわったのだ。


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②“未知”の耐衝撃構造

ケースの4隅に配置された「マルチ ガード ストラクチャー」。T字型のパーツでベゼルトップを押し上げる耐衝撃構造となっている。


 G-SHOCKでは、ケース構造に合わせて様々な耐衝撃構造を開発してきた。フルメタルの「GMW-B5000」の場合は、インナーケースとフロントパーツの間に耐衝撃素材のαゲルを挟み込むことで、衝撃を吸収している。しかし「MRG-B5000」は、細部の磨き込みを重視した25個の多パーツ構成であるため、新しい耐衝撃構造を考えなければいけない。


  今回採用されたのは「マルチ ガード ストラクチャー」という方式。ケースの4隅にT字型のパーツを配置し、板バネを使ってトップベゼルを下から持ち上げて支えるという仕組みになっており、トップベゼルに衝撃が加わったとしても、4つのばねで力を吸収するようになっている。かなり高度で複雑な形状だが、これを伝統的なスクエアデザインに違和感なく取り入れる技術はかなりハイレベルだ。しかもその耐衝撃構造が迫力あるデザインとなっており、G-SHOCKが持っているタフな世界観をより強める効果もある。


  伝統のデザインに加わった、目に見える確かな進化。ここも新たな魅力となっている。


③“未知”のチタン素材

ベゼルトップは「コバリオン」製。ポリッシュ仕上げの光沢感が美しい。バンドは「64チタン」製。コマにはヘアライン仕上げを施し、ビスはポリッシュ仕上げを施して、メリハリのある輝きを作る。


 高級時計の世界では、素材開発がトレンドになっている。軽量さや頑強さ、あるいは発色の豊かさなどの素材特性を利用して、様々なデザインや機能を開発するのだ。


  チタンはその中心にある素材。軽量でさびにくく、人体に優しいという特性は、身につける腕時計にとっては理想素材であるからだ。しかしその一方でチタンは、酸素と結びつきやすくて、加工が極めて難しいという側面もある。特に鏡面仕上げが難しく、しかも金属色はグレーなので、高級感を引き出すのが不得手な素材でもある。


  カシオでは「MRG-B5000」に3つの最先端チタン素材を取り入れている。


  まずパーツが細かく、磨きの美しさにもこだわりたいケース部分には、純チタンの約2倍の強度を持つ「64チタン」を採用。これはチタンに6%のアルミニウムと4%のバナジウムを加えた素材で、一般的には「グレード5チタン」と呼ばれるものである。 そしてバンド部分は傷が入りやすい場所なので、純チタンの約3倍の高度を持つ「DAT55G チタニウム」を採用した。この素材は大同特殊鋼が開発したチタン合金で、チタンに15%のバナジウムと6%のクロム、4%のアルミニウムを混ぜたものである。


  そしてトップベゼルは時計の顔となる部分なので、美しいポリッシュ仕上げとプラチナのような白い輝きになる「コバリオン」を使用。これは東北大学の金属材料研究所が開発した素材で、チタンに、コバルトとクロム、モリブデンを加えたもの。強度も高くて純チタンの約4倍の硬度を持ち、磨くほど美しい輝きを引き出すことができる。


「MRG-B5000」は新しいチタン素材の個性を適材適所で組み合わせることで、高級感を引き出しているのだ。


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④ “未知”のアプリ

ブルートゥースを使ってスマートフォンと連動。「CASIO WATCHES」は、時計の操作だけでなく、カシオウォッチの様々な最新情報がわかる総合アプリとなっている。


 もはや伝統的ともいえるスクエアデザインを、仕上げの精度や進化した素材によって最高峰モデルへと昇華させた「MRG-B5000」。耐衝撃性能などもアップデートしているが、機能面の進化で最も特徴的なのが、「CASIO WATCHES」というスマートフォンアプリだ。ブルートゥースを使ってスマートフォンと時計を連動させ、ソーラー発電の状況や各種時計機能、ワールドタイム設定など、多くの機能をスマートフォン経由で操作することができるようになった。しかもアプリは定期的にアップデートするので、機能面は進化を遂げていくという。


  高級機械式時計は、定期的にメンテナンスすることで長く使っていくものだ。G-SHOCK「MRG-B5000」の場合は、タフな耐衝撃性能に加えて、アプリのアップデートで時計の魅力を永続させる。これは新しい試みであり、高級G-SHOCKとの新しい付き合い方を提案する、現代的な進化ともいえるだろう




 1983年に生まれたG-SHOCKは、世界ブランドとなった。その原点「DW-5000」は、時計界のレジェンドであり、アンタッチャブルな存在である。しかし「MRG-B5000」は、オリジナリティを継承しつつ、ラグジュアリーウォッチとして求められる高級感ある仕上げを取り入れ、最高峰コレクション「MR-G」にふさわしいオーラを纏っている。


  歴史を継承しつつ、未知なる進化を果たした「MRG-B5000」の価値は、真のG-SHOCKのファンであれば理解できるだろう。G-SHOCKは、ついにこの域まで達したのだ。


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「MRG-B5000」詳細

  • MRG-B5000B
    2022年3月12日発売予定
    ケースサイズ:49.4×43.2mm
    ケース厚:12.9 mm
    防水性:20気圧
    使用電源:タフソーラー(ソーラー充電システム)、パワーセービング状態で約22カ月連続駆動
    仕様:Bluetooth®接続、耐衝撃構造、ワールドタイム5本、世界39都市(39タイムゾーン、サマータイム自動設定機能)+UTC(協定世界時)の時刻情報を内蔵、ホームタイムとの時刻入替機能、時刻アラーム5本(1本のみスヌーズ機能付き)、時報、モバイルリンク機能(ワールドタイム約300都市+オリジナルポイント、自動時刻修正、簡単時計設定、タイム&プレイス、リマインダー、携帯電話探索、時計ステータス表示、セルフチェック、Premium Production Line生産証明書)、日付表示(月/日表示入替)、曜日表示(英・西・仏・独・伊・露の6カ国語切替)、フルオートカレンダー、12/24時間制表示切替、操作音ON/OFF切替、LEDバックライト(フルオートライト、スーパーイルミネーター、フェードインフェードアウト残照機能、残照時間切替:2秒/4秒)、バッテリー充電警告機能
    価格:462,000円(税込)

  • MRG-B5000D
    2022年3月12日発売予定
    ケースサイズ:49.4×43.2mm
    ケース厚:12.9 mm
    防水性:20気圧
    使用電源:タフソーラー(ソーラー充電システム)、パワーセービング状態で約22カ月連続駆動
    仕様:Bluetooth®接続、耐衝撃構造、ワールドタイム5本、世界39都市(39タイムゾーン、サマータイム自動設定機能)+UTC(協定世界時)の時刻情報を内蔵、ホームタイムとの時刻入替機能、時刻アラーム5本(1本のみスヌーズ機能付き)、時報、モバイルリンク機能(ワールドタイム約300都市+オリジナルポイント、自動時刻修正、簡単時計設定、タイム&プレイス、リマインダー、携帯電話探索、時計ステータス表示、セルフチェック、Premium Production Line生産証明書)、日付表示(月/日表示入替)、曜日表示(英・西・仏・独・伊・露の6カ国語切替)、フルオートカレンダー、12/24時間制表示切替、操作音ON/OFF切替、LEDバックライト(フルオートライト、スーパーイルミネーター、フェードインフェードアウト残照機能、残照時間切替:2秒/4秒)、バッテリー充電警告機能
    価格:396,000円(税込)


取材・文 / text:篠田 哲生 / Tetsuo Shinoda
写真 / Photos:江藤 義典 / Yoshinori Eto



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INFORMATION

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カシオ計算機株式会社
〒151-8543 東京都渋谷区本町1-6-2
TEL: 03-5334-4869