1996年、初のフルメタルG-SHOCKとして誕生し、以来“G-SHOCKの最高峰シリーズ”として高い支持を獲得し続けている「MR-G」。現在はそのクリエイションにもますます磨きがかかり、G-SHOCKならではのタフさを備えながら、ラグジュアリーかつ独創的な佇まいのタイムピースを展開するなど、機械式時計愛好家の琴線をも刺激している。その最新モデルが「MRG-G2000GA-1AJR」。カシオが培ってきた技術力と日本古来の伝統技術を融合させた、まさにジャパンブランドならではの快作である。
堅牢性が求められる甲冑や銅器などに用いられていた“鎚起(ついき)”技法や、戦国時代の部隊が採用した伝統色“深紅(こきべき)”など、この数年、MR-Gは日本の伝統を積極的に取り入れてきた。当然、これらが具現する独創の意匠は高級時計には見られなかったもので、海外はもちろん、日本の時計ファンをも魅了。事実、多くの高級時計を見、手にしてきた愛好家たちが「最高峰のG-SHOCK」であり、なおかつ「他にはないデザイン」であるMR-Gを指名買いする傾向は確実に増えているという。
そして2019年、G-SHOCKファンや時計愛好家を唸らせる新たなMR-Gが登場した。それが「MRG-G2000GA-1AJR」である。このモデルが表現したのは日本刀の強さと美しさ。それを実現させるため、MR-Gは日本を代表する刀鍛冶である「月山(がっさん)」とコラボレート。さらにカシオが誇る高い技術によって、圧倒的な存在感を放つ、限定わずか300本のタイムピースを完成させた。
月山とのコラボレートが示す最大の特徴はバンドの意匠である。深層硬化処理とDLC処理による重厚感たっぷりにのチタン製バンドを刀の“茎(なかご・刀身の柄で覆われる部分)”に見立て、バンドの中駒に“鑢目(やすりめ)”仕上げを施しているのだ。鑢目とは茎に設けられた筋目模様のことで、刀身が柄から抜け落ちるのを防ぐためのもの。MR-Gではこの鑢目を、刀匠・月山貞伸氏自らが手彫りで施し、さらに第2中駒には“鍛”の文字を刻んでいる。特別なMR-Gにふさわしい、手仕事が魅せる存在感である。
そして、日本刀の“切先”や“沸(にえ・焼入れによってできあがる刃文の一種)”の表現は、カシオが誇る先進の技術がこれを実現。ベゼルにはステンレスの2倍以上の硬度を持ち、プラチナと同等の輝きをもつコバリオンを採用。その3時側と9時側にはそれぞれ三日月状のカットを施し、さらにザラツ研磨によって刀の切先を想起させる美しいディテールに仕上げた。また、チタンケースにはディープバイオレットAIP処理を施して耐摩耗性を向上させるのみならず、日本の伝統色である“深紫(こきむらさき)”を表現。その深みのある色合いは鍛錬されている鋼の色を想起させ、吸い込まれるような美しさを放っている。
このように「MRG-G2000GA-1AJR」は、月山の伝統技法とカシオの先進技術によって日本古来の意匠を表現しているが、一方でこの時計に搭載された機能は革新の塊である。標準電波、GPS衛星電波、そしてBluetoothによる時刻修正システムに対応。スマートフォンと連携し、時刻の自動修正が行えるのみならず、300都市以上のワールドタイム設定も容易にした。また、G-SHOCKが誇るタフ性能も強化。りゅうず、ボタン、ガードパーツを一体化して耐衝撃性を高め、さらにαゲルを内包することでりゅうずへの衝撃も抑えるクラッドガード構造を採用している点も特筆だ。 まさに、伝統と革新の融合によって生まれた最新MR-G「MRG-G2000GA-1AJR」。実際に手にすれば、そのクリエイションの高さに溜息が漏れるのは必至であろう。
ケース側面には「2019 LIMITED」の文字が刻印されたメタルプレートをセット。さらにケースバックには世界限定300本のシリアルナンバーが刻印され、所有感を充足させてくれる。
りゅうず、ボタン、ガードパーツを一体化することにより、耐衝撃性を強化。さらにりゅうずのヘッドカバーにαゲルを装填することでりゅうず自体への衝撃抑制も実現している。
Bluetoothでスマートフォンとの連携が可能。スマートフォンアプリ「MR-G Connected」を利用して、時刻の自動修正やワールドタイム設定、さらにはソーラー充電の状況などが確認できる。
刀鍛冶の名門である月山とのコラボレートにより完成したMR-Gは、日本刀の意匠を随所に散りばめた、まさに日本の伝統美を感じさせるモデル。チタンケースとチタンバンドを採用しており、強さを感じさせる重厚な外観からは想像もつかないほど軽く、装着感は高い。Bluetoothによるスマートフォン連携で、各種機能も使いやすい、実用的な1本だ。 | |
Ref.: | MRG-G2000GA-1AJR |
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ケースサイズ: | 54.7×49.8mm |
ケース厚: | 16.9mm |
ケース素材: | チタン/コバリオン |
ムーブメント: | クオーツ |
価格: | 800,000円(税抜) |
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取材・文:竹石祐三 / Text:Yuzo Takeishi
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