FRANCK MULLER |  自社一貫生産を実現した トゥールビヨン永久カレンダー

自社一貫生産を実現した
トゥールビヨン永久カレンダー

 “トゥールビヨンのマイスター”として知られるフランク・ミュラー。その時計作りを紹介する三部作の動画が、先頃、ウェブにアップされた。これによって今まであまり公開されることのなかったフランク・ミュラーと、彼が築き上げた“時計の王国”ウォッチランドにおける時計作りの一端を知ることができる。ただし、この動画にはナレーションはなく、一般的な時計愛好家にとっては内容が理解しにくいかもしれない。そこで、これら三本の動画を可能な限りわかりやすく説明していこうと思う。


  第一回は「トゥールビヨン永久カレンダーの製作(Making a Tourbillon Perpetual Calendar)」。動画が始まり、フランク・ミュラーのロゴに続いて表れるのは、スイス・ジュネーブ郊外のジャントウにあるウォッチランド。独特のジオラマ風撮影の手法が用いられているので夢の中の景色に思えるが、これは現実であり、1990年代半ばにフランク・ミュラーが完成させた“シャトウ”と呼ばれる工房機能を備える本社を中枢とし、ムーブメント工房や組み立て工房を備える高級時計の一大マニュファクチュールである。


  次のシーンは「研究開発(Research & Development)」と見出しが出るが、登場人物に注目。この人こそ数々の超複雑時計を開発し、“伝説の時計師”とさえ呼ばれるピエール・ミッシェル・ゴレイ氏。現在、ウォッチランドでは彼をアドバイザーとして超絶的な複雑時計の開発が進められている。


  次の場面は、時計の根幹となる地板の切削工程。さりげない映像だが、これはムーブメントをウォッチランド内で自社製造している証拠である。


  次は地板への模様付け。フランス語で「ペルラージュ(Perlage)」と呼ばれる模様で、真珠の粒の連なりに見えるところから付けられた名称。英語では「エンジンターンド」(機械で付けた模様)あるいは「サーキュラーグレイン」(円弧状の模様)となる。この模様はボール盤に研磨剤を練り込んだシリコンゴム製のスティックを取り付け、地板を回転させながら付けるが、間隔や数は作業者に任される。他社の量産品ではコンピュータ制御のマシンで均一に付ける場合もあるが、フランク・ミュラーではあくまでも熟練の職人の技が頼りである。


  その後、歯車への模様付けを挟み、フランク・ミュラーの頭文字“F・M”が象られたトゥールビヨン・ケージへの面取り加工となる。複雑なこの部品への面取り加工は、手作業が絶対的に要求される工程だ。