ここ数年、SIHHやWPHHの会期に合わせて、ジュネーブ市内で行う時計イベントが盛り上がっている。その仕掛け人ともいえるのが、巨大時計グループであるLVMH。中でもタグ・ホイヤー(TAG HEUER)は「あくまでもバーゼルワールドが本番」と言いつつも、ジュネーブ市内の巨大ホールを借り切って大規模な展示会を開催した。
しかもその主役となるのは、今年(2013年)50年目を迎えるフラッグシップ「カレラ」。つまり出し惜しみなしの本気の体制で、ジュネーブ軍団に殴り込みを掛けたということだ。
会場に足を踏み込むと、そこにはタグ・ホイヤーと友好的な関係を結んでいるマクラーレンのハイパフォーマンスカー「マクラーレン F1」が鎮座している。さらに初代カレラが生まれた1963年当時に、同様に世の中に発信されたミッドセンチュリー・ファニチャーがいくつも並んでいる。
SIHH会場は、いくらラグジュアリーとはいえ、スペースを分け合う以上、手狭感は否めない。しかしタグ・ホイヤーの場合、ホールを一社独占。新作時計をゆっくりとみられるだけでなく、商談スペースやバーカウンターも充実していた。
ここでまず発表されたのは、コンセプトウォッチ。今回は機構ではなくマテリアルにこだわった「カレラ カーボン マトリクス コンポジット コンセプトクロノグラフ(CARRERA CARBON 1887 CONCEPT CHRONOGRAPH)」が、最大の目玉だろう。
さらにカレラの生みの親である名誉会長のジャック・ホイヤーが手掛ける「カレラ 1887 ジャック・ホイヤー記念モデル(CARRERA CALIBRE 1887 JACK HEUER EDITION)」は、昨年登場して好評を博したクラシックフェイスを発展的に引用している。
もちろん人気の高い定番モデルたちも、順当に熟成を重ねており、50年目を飾るにふさわしいラインナップとなった。ここまで見せられてしまうと、4月末開催のバーゼルワールドが楽しみで仕方がない。