これまでにもさまざまな技術的改革を成し遂げてきたブレゲ(Breguet)。2013年のバーゼル・ワールドで発表された新作もまた、そのブレゲの血統を受け継ぐ、驚きと革新性に満ちた作品だった。その中でも、これまで時計にとって最大と言ってもいいほどのマイナス要因だった磁力を操り、これを有効に利用することで機能性を格段に向上させたふたつの機構に驚かされた。
そのひとつが、「クラシック ミュージカル(Classique La Musicale)」に採用された磁力を利用した調速機構(ガバナー)。ここでは磁力を用いることでガバナーの作動音を消すことに成功し、オルゴールに近似したミュージカル機構の音色を、よりくっきりと際だたせる効果を得ている。
もうひとつが「クラシック ミュージカル(Classique La Musicale)」に採用された、磁力を使った天真の保持機構。従来、天真をはじめ脱進機を構成する部品が磁力を帯びると精度がガタガタとなり、時計としての機能を発揮できなかった。だがブレゲでは非磁性体のシリコンを導入することで、逆に磁力を使ってテンプの芯を保持する機構の開発に成功。2010年に特許出願された、このメカニズムにより、天真は常に定位置に保持され、精度の向上と衝撃に対する強さを獲得した。
これらの先進的なメカニズムを搭載した新作に加え、2014年の発売を目指して開発された極薄トゥールビヨン「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5377(Classique Tourbillon extra-plat Automatic 5377 )」(価格未定)や、新型ブレスレットとホワイトのマザー・オブ・パール文字盤を装備する「マリーン8827(Marine 8827)」(2,331,000円。税込・予価)など、注目の新作が多数、お披露目された。