ドイツ・ハンブルグにて1906年に創業された筆記具の名門メーカー「モンブラン(MONTBLANC)」。今では完全に時計メーカーとしての地位を確立した。
スイス時計産業の中心地ル・ロックルの瀟洒なシャトーを改装した自社工房では、自社ムーブメントの研究開発を一歩一歩着実に進めている。
2012年は新しい自社製ムーブメントとして、自動巻き式のCal.MB R210をリリース。これは人気のクロノグラフ・コレクション「ニコラ・リューセック(Nicolas Rieussec)」に搭載するために開発しており、ホームタイム表示をディスク式に変更することで、派手さはないが着実な進化を遂げた。
その一方でモンブラン時計のメイン・ターゲットと思われるビジネスマンに向けては、クラシックなシンプルウォッチとして「モンブラン スター クラシック オートマティック(Montblanc Star Classique Automatic)」を作り上げ、ブレの無い姿勢を貫いている。
ブレが無いといえば、ハイエンドモデルを作り出す「コレクション ヴィルレ 1858(COLLECTION VILLERET 1858)」も、相変わらず独自の世界観を提案してくれた。
例えば「タイムライターII クロノグラフ バイ-フリークエンス1.000(Montblanc TimeWriter II Chronographe Bi-Fréquence 1.000)」は、1/1000秒を計測するという超絶機構。昨年の2011年に登場したタグ・ホイヤーのそれとはまったく異なる方式をとっているそうだが、その詳細は現在調査中である。
さらにミュンヘンに拠点を構えるクロックメーカー、エルウィン・サトラー(Erwin Sattler)との共作となる「グランド レギュレーター ノーティック(写真下)」は、マリンクロノメーターをイメージした巨大なクロック(腕時計の置き台にもなっている)の方が、圧倒的に巨大で目立つという快作。
36,330,000円という超高額モデルで生産数も8セットのみとなる本作は、果たしてどんな人が購入するのか…。という野次馬的な興味が湧いてくるが、独特の時計作りへの感性はなかなかにユニーク。モンブランというメーカーは、我々が思う以上にアバンギャルドで、型破りな存在なのである。