セイコー(SEIKO)は、時計ムーブメントのベースとなる地板はもちろん、ひげぜんまいからメインスプリングに至るまで、主要な部品の製造体制を自社とその系列会社で保有し、腕時計から置時計、掛時計に至るまで、ほぼ全種類の時計機械の製造を行う世界唯一と言っても過言ではない有数のマニュファクチュール(自社一貫生産工場)である。
そのセイコーから、2012年、時計の歴史に刻まれるべき新作が登場した。それが世界初のソーラーGPS腕時計「セイコー アストロン(SEIKO ASTRON)」である。
その詳細は解説ページに譲るとして、このような画期的な開発をし、発売を実現させたのは、やはり世界有数のマニュファクチュールであるセイコーの底力。近年、我が日本の物作りの弱体化が指摘されているが、まだまだ大きな可能性を秘めていることが、この新作によって証明されたと言えるだろう。
この話題のGPS腕時計に続いて、セイコーはいくつもの話題作、意欲作を、2012年のバーゼルワールドにて発表した。
たとえば、黒と赤のコントラストが魅力的な「セイコー ブライツ アナンタ Limited Edition 2012(SEIKO BRIGHTZ ANANTA Limited Edition 2012)」というクロノグラフの新作。この文字板は歌舞伎の隈取りからヒントを得ているそうだが、そのような和風の味付けをあえて知らなくても、このカラーリングは十分に魅力的に思える。
また、2002年、長い歴史を持つグランドセイコーにあって、初の多機能モデルとして登場したメカニカルGMTモデルが10周年を迎え、当時と同じデザインを踏襲した記念限定版が発表された。無論、これはタダの復刻版ではなく、外観は当時のままだがムーブメントは最新バージョンを搭載。この飽くなき進化の探求。それこそがセイコーが世界唯一のマニュファクチュールたらしめる原動力なのである。