グラスヒュッテ・オリジナル(GLASHÜTTE ORIGINAL)の歴史は、フェルディナンド・アドルフ・ランゲがザクセン州グラスヒュッテに時計工房を開いた1845年に始まる。やがて優秀な時計師がこの地に集結し、ドイツ時計産業の中心地へ成長。第二次大戦後は旧東ドイツ体制下で複数の時計工房が束ねられ、国営企業「グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ(GUB)」となる。だが1990年、東独体制崩壊によって民営化され、「グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ有限会社」が発足。ブランド名を「グラスヒュッテ・オリジナル」として再スタートを切ったのである。
その民営化から20年以上を経た2012年現在、グラスヒュッテ・オリジナルは「マニュファクトリー(マニュファクチュール)」として、自社一貫製造体制を堅持し続けている。
ただ、従来は古典的なモデルからモダンなモデルに至るまで、幅広いジャンルにおけるコレクションを展開していたが、4年ほど前に経営陣が刷新されるとコレクションを整理し、より自らのルーツに忠実なラインに注力するようになってきた。
もちろん、2012年の新作も、この基本路線に則ったもの。たとえば「パノリザーブ(PanoReserve)」と「パノマティックルナ(PanoMatic Lunar)」は、得意とする左右非対称デザインをベースに、パワーリザーブ表示やムーンフェイズを配した新作。
一方、ルーツである高精度時計製造の伝統と技術を生かした新作が「セネタ・オブザーバー(Senator Observer)」だ。これは1900年初めににグラスヒュッテで製造された「観測時計(オブザベーション・ウォッチ)」を原点とするモデルであり、そこにはグラスヒュッテ・オリジナルならではの端正なデザインと高精度技術が遺憾なく発揮されている。