

アドミラルズカップの大ヒットによって、日本でも相当な知名度を得ていたコルム(CORUM)。しかしここ数年はやや迷走状態に陥っていた。だからこそパネライから招聘したアントニオ・カルチェ氏が、2008年からCEOに収まり、増えすぎたコレクションの整理を始めたことは大きな意味があった。
残されたのは、スポーティな「アドミラルズカップ」、独特の構造美を楽しむ「ゴールデンブリッジ」、クラシックデザインの「ロムルス」、そしてコインウォッチなどユニークな発想を源泉とする「アルチザン」。この4本柱を中心に、本来のコルムの個性である“独自性の高い技術開発”と“伝統の継続”を発展させていこうというのが、今後のコルムの戦略となる。
しかも今年は、アドミラルズカップが50周年、ゴールデンブリッジも30周年という記念すべき年であるため、新作にも熱気がこもっていた。
2010年のアドミラルズカップでは、加工が難しいグレード5のチタンケースを丹念に仕上げた大型モデルが目立った。ピシッとエッジを利かせた迫力満点のデザインでありがながらケース素材が軽量のため、着け心地は快適。これはユーザー目線に立った賢い進化といえるだろう。
さらに輪列や脱進機を細いブリッジの上に並べるゴールデンブリッジも進化しており、2009年発売の「Ti-ブリッジ」に続いて、今年はトゥールビヨンモデルが完成。トゥールビヨンに食傷気味だった時計愛好家であっても、これなら興味を惹くだろう。事実世界中のバイヤーからも評判が高いという。
多くのメーカーでは中国市場を意識した小径モデルに力を入れているが、コルムはむしろ大型化。独立資本がゆえに長期展望が可能だからこそ、今はブランドの方向性を決めるための“骨格作り”を行っている最中なのだ。
取材・文:篠田哲生 Report&Text:Tetsuo Shinoda
写真:堀内僚太郎(Storm) Photos:Ryotaro Horiuchi(Storm)
※表記は2010年4月現在のものになります。