A.ランゲ＆ゾーネ（A.LANGE＆ SÖHNE）の時計哲学のひとつにある、「＜デザイン＞のための装飾はせず、＜機能＞をいかに美しくみせるかを極限まで追求する」というアティチュードは、言葉に出さずともA.ランゲ＆ゾーネ（A.LANGE＆ SÖHNE）のプロダクト自身によって全て語られている。
　　それは、2009年のA.ランゲ＆ゾーネ（A.LANGE＆ SÖHNE）の新作である鎖引きを機構に取り入れた「リヒャルト・ランゲ　"プール・ル・メリット"」や、カムバックの呼び声が高かった「1815」のニューモデルを見れば一目瞭然だ。時計ファンの心を躍らせ、精緻なウォッチメイキングを堪能できるプロダクトとしてA.ランゲ＆ゾーネ（A.LANGE＆ SÖHNE）の歴史に名を残すことは間違いない。
　また、「ダトグラフ　パーペチュアル」のホワイトゴールドケースの登場も、新たなダトグラフの魅力を楽しめる１本に仕上がっている。
　堅実な時計づくりに宿る「真・善・美」が、「伝統の進化形」を標榜するこのブランドらしさを支えていると言っても過言ではないだろう。

　2009年のA.ランゲ＆ゾーネ（A.LANGE＆ SÖHNE）の最大の目玉とも言えるこの「リヒャルト・ランゲ　"プール・ル・メリット"」。正確さを追求する姿勢から、あえて開発の難しいチェーンフュジー（鎖引き）機構を搭載した製品の第３作目である。これは、手巻式時計の「巻き始め」と「巻き終わり」のトルクの差を補完し合い、常に一定にするための機構。制御ネジ付きチラねじテンプと鎖引きによる精度の高さを実現させており、36時間でパワーリザーブが切れると同時にスモールセコンドの秒針が0秒を指す。そして再び時刻を合わせてリューズを巻き始めると、初張力調整によって既に若干巻き上げられた状態になっていた香箱の主ゼンマイと鎖引き機構による、安定したトルクによって時計が動き出す。また、「十周年記念ランゲマティック」以来のエナメルダイヤルは、エナメル焼成時間に細心の注意が払われ（平均して12枚焼いて、やっと１つ完璧なダイヤルを得られる）、見事なまでにフラットな外周、中央部分、スモールセコンドの3パーツを裏からロウ付けすることによって、繊細な立体感があるダイヤルに仕上げられている。
　プラチナケースは50本限定だが、ピンクゴールド（11,424,000円）は200本限定生産。

文：天野靖恵　写真：板津亮

※表記は2009年2月現在のものになります。