丁寧なウォッチメイキングの歴史に支えられ、ヨーロッパのエレガンスと人間工学に裏打ちされたデザインに定評のあるエベル（EBEL）。クラシックなモデルとともに、力強い「テクトン」シリーズ等、スポーティーなラインナップにも毎年注目が集まる。
　プレスハウスとして所有する＜ヴィラ・トゥルク＞は、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジェが手がけたもので、文化遺産としてその保全に取り組んでおり、ブランドコンセプトである「時の建築家」らしい企業のあり方も大切にしている。
　2009年は、「エベル クラシック ヘキサゴン クロノグラフ オートマティック」が登場、迫力あるサイジングとともに、長らくエベル（EBEL）ファンを魅了してきた「スポーツ　クラシック」シリーズの流れを汲む見事なモデルに仕上がった。また、そのムーブメントとデザインのメカニックさが魅力の「1911 テクトン」からエベルキャリバー137を搭載した「1911 テクトン クロノグラフ」や、「エベル クラシック」シリーズからは、流麗なオートマティックのレディースモデル「エベル クラシック レディ オートマティック」を発表、エベル（EBEL）の美しき調和の世界を楽しめる展開に。

　エベル（EBEL）のウォッチメイキングには、まずデザインでもムーブメントでもなく、必ず先に＜時計を着ける人＞ありきであり、そして全てがそこに集約される。プレスハウスのヴィラ・トゥルクも、全て人のサイズを基準にして設計されているが、こうした＜人＞を中心にした姿勢が大いに発揮されているのがこの「1911 テクトン」のシリーズ。毎年その新作に注目が集まるシリーズであるが、2009年は自社製エベルキャリバー137を搭載、軽量なチタンをケース素材に、六角形ベゼルにブラックラバーを使った精悍な仕上がり。12時位置の扇形のデイト表示や、6時位置の回転ディスク式の12時間計など設計のユニークさはエベル（EBEL）ならではのもの。ダイヤルは、ガルバニック・ブラック＆スレイト・グレイに鮮やかなレッドの針、そして立体的多層構造がメカニックかつスポーティーなイメージを盛り上げる。

文：天野靖恵　写真：板津亮

※表記は2009年7月現在のものになります。