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Gressive Impression Gressive スペシャル座談会 2017年の腕時計シーンを振り返って──。

2017年は、手頃な価格で
普段使いできるSSモデルが充実

2017年は、手頃な価格で普段使いできるSSモデルが充実

2017年のバーゼルワールドは出展ブランド数こそ減ったものの、価格戦略やヴィンテージ・テイストのデザインを推し進めるブランドが増え、市場を活性化させようとする動きが見られた。

堀内:私が一番気になったのは、パルミジャーニ・フルリエの「トンダ1950」。中でもメテオライトのモデルに惹かれましたね。


篠田:堀内さんはカメラのファインダー越しに寄って見ているから、やはりテクスチャーのあるモデルにぐっとくるんでしょうね。


堀内:確かに、それはありますね(笑)。そして、バーゼル出展ブランドの中ではブローバの「ムーンウォッチ」と、グラスヒュッテ・オリジナルの「セネタ・クロノグラフ・パノラマデイト」が良かった。あとはロンジンの「ヘリテージ1945」。20万円台前半という購入しやすい価格帯であのデザインなら、絶対に欲しいと思いますよね。


田中:パルミジャーニ・フルリエは、原点回帰を忠実に行ったことで、筋を通した感がありますね。

江藤:私はジラール・ペルゴの「ロレアート」。デザインもサイズも含めて、使いやすそうですよね。


篠田:ロレアートのいいところは、サイズのバリエーションが豊富にある点ですよね。ラグジュアリー・スポーティ・ウォッチのカテゴリーで見ると、オーデマ ピゲの「ロイヤルオーク」は41mmがベースだから、やや大きい印象がある。しかも、小さいのは高いし……。でも、ロレアートには38mmが最初からラインナップされているのが強み。サイズの選択肢が多いのは、後発ならではのメリットだと思いますね。


江藤:しかも38mmって、着けたときにちょうどいいサイズなんですよ。腕にキレイに収まってくれる。

江藤:そしてバーゼルワールドで気になったのは、ブレゲの「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」ですね。


堀内: これは私もそう。撮影していて、ぐっときたモデル。表も裏も美しい造形でしたね。


篠田:SSのこなれた価格のモデルも増えましたが、いいものにはちゃんとお金を出そうという人がいるということですよね。

名畑:2017年を総括して見えてきた方向性としては、普段使いできて手頃な価格のSSモデルが増えたこと。そして昔のサイズに戻る傾向が顕著になってきたこと。「38mmくらいがちょうどいい」という雰囲気が、日本だけではなくヨーロッパにもあって、こうした傾向に対応したモデルを展開するのが今の流れになっていると思います。

  これは最近の話になるのですが、ボール ウォッチでも自社ムーブメントを開発中で、これが38mmケースに収まるようです。実際に見たところ、ムーブメント自体は結構大きくて40mmが限界ではないかと、ボール ウォッチ・ジャパンの担当者も私も思ったのですが、38mmに収まると設計者は話していましたね。

  もうひとつ、ボール ウォッチのやり方は非常に賢くて、ETA2824の構造を踏襲しながら、現在のモデルに合わせてサイズを拡大しているので、パーツが共通で使えるのです。つまり、修理用のパーツをわざわざ供給しなくても、ETA2824のパーツがあれば直せる。しかもサイズを大きくしたことで、今後の搭載モジュールに余裕があり、いろんな形に発展する可能性がある。権利問題もクリアにしながらこうした自社ムーブメントを作るのは、非常に賢いと思いましたね。


篠田: 自社ムーブメントも、派手なことをするブランドが減ってきましたよね。手堅いものをちゃんと作るという風潮が出てきた。


名畑:気になったのがチュードルの動き。2017年のバーゼルを見た限り、チュードルの新作がデザインも価格も含めて非常に魅力的で「なぜ、これを売らないんだ?」という疑問が生じました。日本でも展開しようという動きはあり、どこが扱うのかは分かりませんが、スイスのリテールプライスと変わらないくらいの価格なら相当話題になるし、欲しい人はたくさんいると思う。今後注目すべき動向のひとつでしょうね。

篠田: 日本ではシチズンがスイスのブランドを次々と傘下に収めましたよね?


竹石:もともとは、ETA2010年問題対策として、プロサーホールディングスを獲得しましたが、シチズンとしては国外での販売網……特に高価格帯の販売を強化していく狙いがあるようです。一方で傘下のブランドも、シチズンの持っている商圏を使えることはメリットみたいですね。日本といえば、グランドセイコーも独立しましたが、そちらの動きはどうなんですか?

篠田: リブランディングをして、グランドセイコーがラグジュアリー路線を強めたため、高価格帯のモデルが動くようになったようです。


名畑:一方で、セイコーの「国産ファーストダイバーズ 復刻デザイン」は値段も非常にこなれてますよね。あのモデルは、売れて当然だと思いますね。おかげで古いものがどんどん値上がりしていますが……。


篠田:復刻版が出ると、オリジナルが高くなりますよね。

構成:竹石祐三 / Edit:Yuzo Takeishi
写真:堀内僚太郎、江藤義典 / Photos:Ryotaro Horiuchi, Yoshinori Eto


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