World-Class Super Three-dimension Skeleton Watch |  彫金モデルの限界を凌駕する八岐大蛇の超立体造形

彫金モデルの限界を凌駕する八岐大蛇の超立体造形

  ふたりの匠の手から生まれたTerui & Sakurada Shizukuishiの「 RS-1」。その構想は2010年にスタートし、最初の試作品が作られたのが2012年。震災復興をテーマとして、“これぞ日本”という作品を生むべく、「古事記」や「日本書紀」に登場する八岐大蛇(ヤマタノオロチ)をモチーフにデザインを起こしたという。


  当初、太刀や鏡などの要素が盛り込まれていたが、それをそぎ落とし大蛇(オロチ)の彫金を中心としたものへ追い込んでいったという。


「これまでも何らかのモチーフをムーブメントに乗せたモデルはありましたが、この作品では、さらなる“超立体”を目指しました。その意味では、やりたいものをやらせていただいたという充足感はあります」(照井氏)


  照井氏の言葉どおり、文字盤から突出した猛々しい大蛇が迫力満点。しかも大蛇は文字盤側から裏側に突き抜け、鱗まで精密に彫り込まれた尾も圧倒的な立体感で表現される。


  だが、この立体造形がムーブメント組み立てに大きな障壁になったと桜田氏は語る。


「立体的な彫金のため、どうしても針と大蛇のクリアランスがシビア。そこで針のアップ&ダウンを厳密に調整する必要がありました。ただ、苦労しただけあって完成した作品を見て、自分でも『これはいいなぁ』と思いましたね」(桜田氏)


  ちなみにムーブメント外周部の白蝶貝は上方に向かうほど幅が広くなり、これが日の出を表現しているという。


  このTerui & Sakurada Shizukuishiの「 RS-1」はシリーズ第一作であり、今後、毎年一作ずつ大蛇の頭を増やしながら製作を続けていくという、実に壮大なプロジェクトなのである。


桜田さん作業中

大蛇の身体が文字盤側からムーブメント側にまで連なるという独自のデザイン。その立体表現にも驚かされる。「私は大蛇の模様ひとつひとつが作品だと思っています。手に入れた方は是非、顕微鏡で見ていただきたいですね」とは照井氏の弁。


取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photo:Ryotaro Horiuchi



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