








2009年に撮影されたフランク・ミュラー。ちょっと貫禄がついたが、その強固な意志と旺盛な開発意欲は、今も出会ったときのままだ。
フランク・ミュラーの作品には、その裏蓋に「Master of Complication」(複雑時計のマスター)と刻印されており、複雑時計の第一人者であることをアピールする。
フランク・ミュラーはこれまで、いくつもの功績を残してきたが、その最大のものは、複雑時計の存在を広く一般に知らしめ、それと同時に高級時計のあり方を変えてしまったことである、と私は思っている。
そもそも高級時計とは何だろうか? 貴金属のケースにダイヤモンドをちりばめれば、それが高級時計なのか? この素朴な疑問に対し、「高級時計とは機械式複雑時計である」と宣言したのが、他ならぬフランク・ミュラーだった。
1970年代以降、クォーツ時計が大量生産されるようになると、機械式時計を遙かに凌駕する高精度と圧倒的な低コストによって、機械式時計は時計の世界の主役の座を明け渡すことになる。これによって“高級時計”の存在価値が揺らぎ、それはいつしか、単に貴金属や宝石を使った時計の代名詞となってしまった。
そこに現れたのがフランク・ミュラーだ。彼はともすれば忘れ去られがちだった機械式複雑時計を再発見し、いくつもの機能を組み合わせたり、新たな機構を開発することで、その復権を主導したのである。
これによって高級時計は“貴金属+宝飾”という従来の価値観から、“複雑機構”へと主体が移る。それは“ひとつの腕時計にどれほどの知恵が盛り込まれ、手間が掛けられたか”ということに対する評価が、時計の価値や価格に反映された、と私は考えている。
こうして機械式複雑時計の復興を成し遂げたフランク・ミュラーは、同時に時計サイズに対する概念をも変えた。つまり、フランク登場以前は「薄型=ドレッシー=高級」が常識だったが、厚く大型でも、そこに複雑機能が搭載されていれば高級時計であるという新たな価値観が生まれたのだ。今では厚いからといって高級時計に含めないことなどありえない。このようにサイズひとつとっても、フランク・ミュラーが、いかに強い影響力を現在の時計界に及ぼしているのかがわかるだろう。
取材・文:名畑政治 Report&Text:Masaharu Nabata
写真:高橋和幸(PACO) Photos:Kazuyuki Takahashi
フランク・ミュラー(FRANCK MULLER) についてのお問合せは……
フランク・ミュラー ウォッチランド東京
東京都中央区銀座5-11-14
TEL:03-3549-1949
>>フランク・ミュラー(FRANCK MULLER) 公式サイトはこちら
>>フランク・ミュラー(FRANCK MULLER) のGressive掲載ショップはこちら
※上記商品を取り扱っていない店舗もございます。
>>>フランク・ミュラー(FRANCK MULLER)のコンテンツ一覧はこちら