
1942年、時代はちょうど、航空産業の夜明け。
ブライトリングは、世界初の回転計算尺を搭載したパイロット用クロノグラフを発表し、“航空クロノグラフ”という腕時計の新しいジャンルを築いた。そのモデルこそが、初代「クロノマット」である。生産終了後も“航空クロノグラフ”としてのスピリットは引き継がれ、ブランドのアイデンティティに深く根差していった。
時は過ぎ1979年。クォーツ式の時計が台頭し、スイスの機械式時計業界に深刻な打撃を与えていた頃である。ブライトリングの経営を引き継いだアーネスト・シュナイダーは、無謀とも思われた新プロジェクトに、社運を賭けようとしていた。それは、イタリア空軍のアクロバティックチーム「フレッチェ・トリコローリ」のオフィシャルクロノグラフを決めるコンペに勝つために、これまでにない、まったく新しい機械式クロノグラフをゼロから開発することである。そんな時代の流れに抗うような試みによって、アーネスト・シュナイダーは、機械式時計がふたたびスポットを浴びることを夢見たのであった。
そして、実際にパイロットたちの意見を参考にしながらつくり上げた渾身の機械式クロノグラフにふたたび、ブライトリングの歴史的名作であり、ブランドの進路を決定づけた記念碑的モデル「クロノマット」の名を、約30年ぶりに採用した。こうして1984年に誕生した新生「クロノマット」は、アーネスト・シュナイダーのもくろみ通り、ブライトリングの立て直し、ひいては機械式時計産業の復権に、大いに貢献したのである。

誕生以来、「クロノマット」は多くのバリエーションを追加し、幾度ものリニューアルを重ねた。
クラシカルな雰囲気を残す「ナビタイマー」のシリーズとは対照的に、「クロノマット」は常にその時代の先端技術と、モダンで洗練された外装が与えられる、ブライトリングの<進化>を象徴するシリーズとして位置づけられていると言えるだろう。
そして20年目を迎えた2004年、ブライトリングは4度目のリニューアルによって、またしても「クロノマット」を大きく飛躍させた。そうして誕生したのが「クロノマット・エボリューション」である。
ケースサイズを39mmから43.7mmに大胆に拡大してたくましい印象に仕上げ、さらにプッシュボタンやラグ、ライダータブの形状などすべてのディティールに改良の手を加えて、たおやかな曲線が美しいシルエットを追求した。また、ダイヤルに目を移すと、センターに同心円状のパターンが刻まれたギロッシェ加工が施され、文字盤の"空間美"を強調。インデックスはローマ数字、アラビア数字とバー・タイプの3種が用意されるが、いずれも立体的に磨き上げられ、手に取った者にしか分からないほどの、繊細な仕上げが施されている。
また、クロノグラフ作動時における機密性と安全性を高めた、ブライトリングが独自に開発した"ねじ込み式セキュリティ・プッシュボタン"は、頑強な設計のケースと組み合わせることで、クロノグラフモデルとしては非常にハイ・スペックな300m防水を実現したのだ。
<プロのための計器>として、機械式クロノグラフの頂点を極めた「クロノマット・エボリューション」。その気高き精神は、2009年、ついに市場に姿を現す「クロノマットB01」に、色濃く引き継がれている。